歯科矯正治療とは
矯正歯科(歯列矯正)とは?ガタガタの歯並びや出っ歯や受け口などの症状を、きれいな歯並びにする治療です。
矯正治療による口腔機能の改善は、審美的にも美しい歯並びを得ることにつながります。
具体的には歯列矯正にはさまざまな方法がありますが、歯に[ブラケット]という装置を取り付け、
そこにワイヤーを通して少しづつ歯を動かしていく[ワイヤー矯正]が最も一般的な治療方法です。
以前は、歯の裏側からワイヤー矯正を行なう、舌側矯正治療法は一部の限られた医療機関でしか行われていませんでした。 近年は治療方法の発達により、診療を行なっている医療機関の数も増え、東京などの大都市だけでなく、地方でも診療可能な施設が増えてきました。
ここでは、それぞれの歯列矯正方法について写真の紹介も含めてご説明いたします。
とにかく一番実績がある矯正法が良いと思う人におすすめは
とにかく一番実績がある矯正法が良いと思う人におすすめは、
マルチブラケット法(表側装置のワイヤー矯正)です。
治療前
治療中
治療後
マルチブラケット装置の特徴
全国29歯科大学の歯学部病院で行なっている治療方法です。大学卒業後に矯正専門医を目指し研修をする場合、まずはじめに習得すべき治療方法は、このマルチブラケット法です。
ですから大学病院で矯正科で研修を行った歯科医ならば誰でも治療可能な方法です。原則として、日本矯正歯科学会認定医になるためには最低2年間以上、常勤医師として大学病院に勤務することが必須で、
近年は矯正学会認定医になるためには大学卒業後、8~9年間以上時間を費やすといわれております。
矯正装置が見えるのが嫌な人の場合は
矯正装置が見えるのが嫌な人の場合は、舌側矯正やマウスピース矯正、クイック矯正がおすすめです。
a:舌側矯正
表側のマルチブラケット装置と同じ要領で歯の裏側にブラケット装置を接着し、そこにワイヤーを通しておこなう治療方法。
表側に比べて、技術力が要求される治療。
舌側矯正がはじまった当初は表側の装置をそのまま歯の裏側に接着しての治療でしたが、現在は舌側専用ブラケット、舌側専用ワイヤーがあり、表側と異なるデザインの異なる製品を用いるのが一般的です。
治療前
治療中
治療後
b:マウスピース矯正
従来では、歯を動かし終わったときに使用する保定装置といわれる装置の一種であった、マウスピースを用いて、ワイヤーなどを一切使用しない治療方法として世界に広まった治療方法です。
当初はワイヤーをまったく使用しないのが最大の利点でしたが、近年では単独での治療方法にも限界があることが解明されてきました。
そのため、マウスピース+ワイヤー装置、マウスピース+インプラントアンカー装置、マウスピース+外科手術といった治療までおこなっている医療機関も出現してきています。
今後、これらの治療方法の長期予後に興味があります。
治療前
治療中
治療後
クイック矯正
表側装置は目立つから嫌だし、裏側矯正やマウスピース矯正は時間がかかるから無理。
とにかく数回の治療でなんとかきれいになりたいといった人にぴったりな治療方法。
欠点は自分の健康な歯を削ることになるので、治療あとに虫歯になりやすくなることです。
治療前
治療後
治療期間を短縮する方法は?
治療期間を短縮するには、大きくわけて2つの方法があります。それぞれ単独でも早くなりますし、両方同時に選択すればもっと早くなります。
スピード矯正
代表的なのは歯のまわりの骨に小さく穴をあける方法です。術後6カ月程度は驚くほどのスピードで歯が動きます。 欠点としては、費用が割高になること、術後に顔が腫れることです。
スピード矯正前
スピード矯正処置
スピード矯正6カ月後
インプラント矯正
インプラント矯正とは、顎にチタン製の小さなネジを埋入し、骨結合したネジを歯の移動の固定源として使用します。
インプラント矯正の利点は大きく2つあります。1つ目は、歯列矯正治療期間の短縮です。一度に多くの歯を動かすことが可能となることで、
治療期間の短縮につながります。
もう1つは、従来の方法であれば外科手術しなければ治療不可能な症例の場合や、抜歯しなければ矯正治療は難しいと言われた症例でも、
インプラント矯正治療を用いることによって治療が可能になりました。
インプラント矯正前
インプラント矯正処置
インプラント矯正中
まだ、大人の歯が生えそろっていない人は
まだ、大人の歯が生えそろっていない人は小児矯正治療です。
日本矯正歯科学会では7歳までに専門医による咬み合わせのチェックを!と啓蒙しております。
小児矯正治療の場合は症状によっても様々ですが、咬み合わせによっては7歳くらいから開始したほうが良い場合もありますし、
12歳以降に歯列矯正治療を開始しても充分間に合う人もおります。
小児矯正歯科治療のメリットは?
日本臨床矯正歯科医会監修のキッズの歯並びワクワクブック(小学館スクエア)によると、 骨の成長発育を生かして治療できるのが最大のメリットと記載されてます。
つまり、骨の成長がとまってしまっている大人の場合は、あごの骨の大きさは手術以外でほとんど変えることができませんが、
成長段階にあるこどもの場合は治療によって上下のあごの成長を抑制したり、促したりしてバランスを整えることができ、
骨格的な改善をはかることができるからです。
一方で小児矯正歯科治療のデメリットは?
1:経過観察を含めて成長発育が終わるまで続くため、治療期間が長くなる。
2:治療期間が長くなることから、一般的に歯列矯正治療全体の治療費用が高額になりやすい。
小児歯科治療前
治療中
治療後
顎の大きさや顔の変形、歯茎の出っ張りがきになる人の場合は?
顎の大きさや顔の変形、歯茎の出っ張りがきになる人の場合は、外科的にアゴの骨を切って咬み合わせの改善を行う、 外科矯正が必要になることがあります。
外科矯正前
外科矯正治療中
外科矯正治療後
詳細は、受け口、顎変形症などの外科矯正治療の項目へ
歯列矯正には保険は利くのですか?
歯列矯正治療には保険適用の外科矯正治療を除き、基本的には全て健康保険外の治療となります。 しかし、口唇裂・口蓋裂などの先天的な口腔ならびに全身的な疾患の場合は健康保険の適応治療となります。
保険適用の外科矯正治療をおこなっている医療機関の場合は、顎口腔機能診断施設、障がい者自立支援指定医療機関のうち、 顎変形症の矯正歯科治療を健康保険で行うための施設基準を満たし、都道府県へ届け出を行った医療機関が可能となります。