受け口、顎変形症などの外科的矯正治療
アゴの骨の変形により、上アゴまたは下アゴが大きく出ていたり、引っ込んでいたりしている場合や顔が非対称で歪んでいる場合などを総称して、顎変形症と呼んでいます。
このような状態では、うまく食べ物が咬めなかったり、発音が不明瞭になったりすることがあります。
日本人では、下アゴが突出し、下の歯が上の歯の前にある、俗に受け口といわれている下顎前突症がもっとも多く見られます。
アゴの骨の発育異常や外傷、手術後の変形などが原因と考えられています。
治療としては、アゴの形や歯の咬み合わせを正常にするために外科手術を伴った歯列矯正治療をおこないます。
また、現代外科的矯正治療の理論と実際という教科書内に記載していることとして、顔の骨格的問題を9通りに分類しております。
前後的には 出っ歯傾向、ノーマル傾向、受け口傾向とします。垂直的(上下的)方向には長顔(面長な顔)、ノーマル、短顔(短い顔)とします。
縦が3段階、横が3段階に区分すると3×3とおりで合計9通りになります。
外科矯正治療の流れ
ここでは、外科矯正治療の流れを説明します。
- 矯正精密検査および診断
- 診断の結果、外科矯正治療と決定します。
- 手術前矯正治療開始
- 手術前矯正治療の期間は症状や程度によってマチマチです。おおよそ1年~2年程度の治療期間がかかります。
- 外科手術
- 外科手術は入院しておこないます。
手術方法は上顎のみの場合と、下顎のみの場合、上下同時におこなう場合と3タイプあります。
そのため、入院期間も手術方法、医療機関によって様々であり、5日間~14日間と幅が広いです。 - 手術後矯正治療
- 手術後、顎の後戻りを予防しつつ、適切な咬み合わせが構築でき、かつ安定してくるのを待ちます。 治療期間は1年前後です。
- 動的矯正治療終了後、保定治療へ移行(メインテナンス)へ
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良好な咬み合わせを維持するために、保定治療へ移行します。多くは簡単な取り外し可能な装置を使用状況に応じて数時間~24時間装着してもらいます。
保定治療の治療期間は症状や患者年齢、使用状況によっても様々です。
外科的矯正治療の手術方法について
外科的矯正治療の手術方法は大きくわけて2通りになります。
また、分類上は2通りになりますが、上下同時に手術をおこなうこともあります。
なお、外科的矯正治療は一定の条件を満たせば、健康保険適用で治療を受けられます。
保険適用の外科的矯正治療を満たす条件とは?
- 施術する矯正歯科クリニックが健康保険治療をおこなっていること。
- 顎口腔機能診断施設基準を満たしており、知事の指定を受けていること。
- 手術施設が健康保険治療をおこなっていること。
矯正治療を受ける医療機関、手術を受ける医療機関どちらも健康保険治療をおこなっていることが重要です。